第14話

なんとか姫花をなだめることが出来た唯は、帰宅後、何故か2人を置いて先に帰ってしまった頼斗を自室に呼び出していた。



桐生一家の暮らすマンションと、唯の暮らす一軒家は、歩いて3分程の距離にあり、すぐに行き来できる。



「お前、なんで姫花を1人にしたんだよ」



「唯がいてくれるし……俺は今日の夜から始まるアニメを録画予約しとくの忘れてたから、早く帰って予約したかったんだよ」



頼斗は校内一のイケメンなどともてはやされているが、その実態はどうしようもないオタクだ。



漫画もアニメもゲームも大好き。



勿論、コスプレも喜んでやる。



そして今は、唯に怒られてもどこ吹く風で、勝手に唯のゲーム機を使用し、1人で遊んでいる。



「なんてやつだ……」



唯は呆れた。



「そういう唯の方こそさぁ」



頼斗は唯の方を見もせず、ひたすらテレビ画面に集中している。



「姫花に何も連絡しないで、告白してきたクラスのヤツの話に付き合ってたんだろ?」



「……」



「一言くらい連絡してやれば良かったのに」



「……姫花に、知られたくないと思ったんだ。そんなに時間もかからないだろうと思っていたし」



「……それは姫花が可哀想だ」



頼斗の言葉に、



「だからって、泣く程のことではないだろう?」



唯は反論した。

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