第12話
「い、委員長……」
「……あれ? 委員長ってこの子と知り合いだっけ?」
「……」
いつも姫花と登下校を共にしているので、周知のことかと思っていた唯は、予想外の言葉に黙ってしまった。
なるほど……自分程度の地味な男では、姫花と頼斗の2人と並んだ所で、美男美女+アルファーくらいにしか認識されていないのか。
妙に納得出来てしまうところが、余計に腹立たしい。
「……怯えている下級生に手を出すな」
とりあえずは、最もらしいことを言っておく。
「内申に響くことになっても知らないぞ」
「……いや、委員長は先公にチクったりするようなヤツじゃないだろう?」
「そんな陰険なことしないよな?」
姫花から手を離し、あわあわと唯に駆け寄る2人を、
「
唯は冷たい眼差しで見下ろした。
「分かった! もうこの子には近付かないから!」
「約束するから!」
勿論、先生にチクるなんて面倒なことをするつもりはないが、
「当たり前のことを一々言うな。失せろ」
腹が立つので突き放した。
立派な八つ当たりである。
「は、はい!」
「姫花ちゃん、ごめんね!」
2人は床に放置していた各々の鞄を慌てて掴み、走り去った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます