第11話

姫花がしゃがみ込んだまま動けずにいると、



「……あれ? 君ってもしかして、姫花ちゃん?」



「うわっ、近くで見るとますます美人だ!」



2年生の男の先輩2人に捕まってしまった。



「えー、なになに? こんな所で何してるの?」



「えっ、あの……」



「声まで可愛い〜。ねぇ、ビッチって噂本当?」



(――コイツらいきなり失礼だな!)



「ご想像にお任せします」



違うと言えば嘘だと言われるし、そうだと言えば相手をしろと言われる。



今までの経験上、どちらの答えを選んでも相手の望むことは1つしかない。



「想像しろだなんて、エロいこと言うね」



……あれ?



「ビッチかどうか、実際に試させてよ」



どうやら、この選択も間違いだったようだ。



男2人に腕を掴まれ、途端に嫌悪感で鳥肌が立った。



「離して下さい!」



「おっ! そういうプレイもいいね〜!」



「やっぱり美人だと絵になるね〜」



男2人が楽しそうに笑っていると、



「へぇ? 俺も混ぜてくれよ」



静かな、でも明らかに怒りの込められた唯の声が廊下に響いた。

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