第6話

そんな生活を送っているうちに、妙な噂が流れ始めた。



姫花が、友人の好きな人に対して色目を使った、とか。



付き合っていたはずのカップルを別れさせて、その彼氏を横取りした、とか。



美人だからって調子に乗っている、とか。



本当に悲しくて泣いているのに、女の武器を駆使した悪女だ、とか。



性格ブスでビッチだ、とまで言われている。



最初は勿論、傷付いた。



けれど、性格ブスの噂が広まっていた方が、告白してくる男も減るのでは? という考えに至った。



皆のイメージ通り、性格ブスの悪女になってやろうじゃないか。



その考えが、姫花の口と態度を日に日に悪くさせていった。





だが、そんな姫花にも、たった1人だけ想い人がいる。



小さい頃から頼斗も混じえた3人でよく一緒に遊んでいた、幼なじみが。



市川いちかわ ゆいという、1つ年上の男の子だ。



幼稚園の頃からずっと一緒で、高校も唯が進学した学校へ、追いかけるようにして入学した。



その時だけは、生まれて初めて勉強を頑張れた気がする。



姫花にとって、それくらい好きな人。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る