第5話

だが、それはそれ、これはこれ、だ。



何度も言うが、姫花は自分の容姿が嫌いである。



コンプレックスの塊だ。



顔が父に似ているからと言って、医者を目指せるほど頭がいいわけではなく――寧ろ、成績はかなり悪い。



運動も、何をしても全般ダメ。



球技なんてコントロール不可能でグダングダン。



母のように料理や裁縫が得意ならまだ女性らしさのアピールでも出来たのだろうが、そちらも全くダメだった。



そもそも、努力すること自体が苦手である。



……ダメだ、どんどん落ち込んでしまう。



要するに、姫花には顔以外に良い所が何一つない。



頼斗は勉強も運動も得意で、顔だって母親似なので決して悪くない――いや、校内一のイケメンとまで言われてる。



同じ親から生まれた双子なのに、この差は何なのか。



一歩でも外を歩けば、過ぎ行く人皆が姫花を振り返ってまで見る。



初めて会った人にも、



「好きです、付き合って下さい」



と言われることは日常茶飯事。



同じ学校に通う生徒からも頻繁に告白され、どこを好きでいてくれるのかをけば、



「見た目に一目惚れをした」



全員が全員、ほとんど同じ答えを返す。

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