第85話

一方、その頃。



陽を追いかけた沙那はというと――



「沙那、アンタ……榊と桐生君の3人でグルだったのね」



陽の住んでいるアパートの一室のローテーブルの前で、陽に正座をさせられていた。



「グルっていうか、その……ユウのこと応援しただけっていうか」



おずおずとした沙那の答えに、陽は盛大に溜息をつく。



それを見ていた沙那は、



「陽は……ユウのことどう思ってるの?」



普段からいい感じには見えているので、率直に訊ねた。



「友達としてなら、まぁいいヤツかなとは思うけど……男としてってなると、全く信用出来ない。沙那との時の浮気とか女遊びとか」



「……」



陽の言う通りなので、沙那は一瞬黙ってしまったが、



「でも……陽と仲良くなってからのユウは、そういうの一切してないよ」



普段の祐也の様子から、彼が陽に対して本気なのは明らかで。



「そんなの……付き合い始めた途端に変わるかもしんないじゃん」



陽はペットボトルのお茶をカップに注ぎながら、また溜息をつく。



「それは……その可能性もなくはないけど」



そのお茶を陽から受け取った沙那は、俯いてカップの中身を見るともなく見ていた。



「……陽の、気持ちはどうなのかなって」



沙那のその一言で、



「……」



自分の分のお茶を注いでいた陽の動きが、ぴたっと止まる。



「瀬戸さんのことは全く相手にしてなかったのに。ユウのことは、意識してるんじゃないの?」

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