第82話

そして、祐也が陽への告白を決行すると決めた日。



この日は、祐也も陽も純の部屋に遊びに来ていた。



いつも通りにリビングのソファーで課題に取りかかる2人を見て、



「……あ、食器用洗剤の買い置きがない。買いに行かなきゃ」



お茶の用意をしようとキッチンで冷蔵庫を漁っていた沙那が、突然そんなことを言い出して。



「そうか。ならば俺も荷物持ちとして一緒に行くよ」



ソファーに腰をかけて読書をしていた純が、パタンと本を閉じて。



「少し買い物に行ってくるから、2人はゆっくりしてて」



そうして連れ立って出かけて行った2人の背中を見送った陽は、



「この家の洗剤って冷蔵庫で保管されてるの?」



沙那の行動を不思議に思い首を傾げてから、



「洗剤買いに行くだけで荷物持ちするなんて……沙那に対する桐生君の溺愛っぷりは相変わらずね」



呆れたような表情でそんな感想を漏らした。



そんな陽の横顔をじっと眺めていた祐也は、



「なぁ、五十嵐」



意を決したように口を開いた。



「五十嵐は今、好きなヤツとかいねーの?」

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