第79話
「聞いてはきたけど……ユウ、これ聞いてもヘコまない?」
その日の講義を全て終え、祐也は沙那と純の暮らすマンションへとやって来ていた。
陽はバイトが忙しいとのことで、現在ここには来ていない。
リビングのソファーに沙那と純が並んで座り、純の向かいに祐也が座って、沙那の淹れた紅茶を3人で飲む。
「その言い方でもう既にボコボコにヘコまされてるんだけど」
祐也がヘコむのを前提とした沙那の前置きに、祐也はガクッと項垂れた。
「で? 五十嵐は何て言ってたんだ?」
純にとっては他人事なので、向かいの祐也とは対照的に優雅に紅茶を
「“
沙那の答えに、
「……」
祐也は黙り、
「ほう。あくまでも第三者を貫く姿勢か」
純が追い討ちをかけた。
「桐生、お前! 他人事だと思って楽しんでるだろ!」
祐也の八つ当たるような声にも、
「大事な友人の一大事が楽しいわけないだろう」
純は至極真面目そうな表情で返す。
沙那が絡んでいないことには基本的にポーカーフェイスを貫く純の本心は、たとえ幼なじみの祐也でも分かりづらい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます