結色。

第73話

純と沙那が仲直りをしてから数日が経ち――



「なぁなぁ、陽ちゃん!」



「……ずるっ……ずぞぞぞ〜っ」



「陽ちゃんて!」



「……」



大学の学生食堂、その一角でラーメン(大盛り)を男らしく食らう陽の向かい側に座った朝日が、陽のことをひたすらに呼び続けていた。



陽が無視を決め込んでわざと音を立てて麺をすすっていても、朝日は全くめげない。



そしてその様子を、



「いいのか? 好きにさせておいて」



「……なんで俺に聞くの?」



少し離れた席に着いている純と祐也が心配そうに見ていた。



一番端の席に陽、その左に沙那、更にその左に純、祐也の順で座っているので、本人たちに聞こえないよう小声で会話をする。



バリバリと音を立てて揚げ餃子を食べる陽は、



「あ。ごめん、沙那。お醤油取って」



「ちょお、陽ちゃん無視せんでや!」



隣の沙那から醤油さしの瓶を受け取り、揚げ餃子に少しだけ垂らすと、またバリバリと音を立てて食べた。



口の中のものをごくんと飲み込んでから、



「……さっきから何? ていうか、なんでまた来てんの?」



ニンニク臭を撒き散らしてやる勢いで向かいの朝日を振り向いた。

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