第70話

「私たち、すっごく仲良いと思うんだけど、スーはどう思う?」



「……俺も、そう思う」



動きを止めて沙那を見つめる純の目は至極真剣で。



「他の人に何か言われるくらいのことなんて……気にする必要ないと思うんだけどな」



沙那は朝日のことを指して言ったつもりだったのだが、



「俺が気にしているのは、沙那の気持ちだけなんだぞ」



沙那の顔の隣で、互いの指を絡めるようにして手を繋いだ純が、悲しそうな顔をする。



「……俺の願望を知れば、きっと沙那は幻滅するだろうから」



「スーがどんなこと考えてるのかは知りたい」



沙那が、繋いだ純の手をぎゅっと握り返す。



正直に答えてくれても大丈夫だよ、という意味だったのだが、



「……言いたくない」



純は沙那から目を逸らす。



「スーの希望を叶えてあげたいっていう私の気持ちは無視するの?」



「その言い方はずるいぞ」



はぁ、と諦めたように溜息をついた純が、また沙那の目を真っ直ぐに見下ろして――



「沙那に近付こうとする男は全員、消えてしまえばいいのにと思っている」



そんな、ありえない願望を吐露した。



「え……」



「瀬戸は勿論死んで欲しいくらいに嫌いだが、榊も……沙那と楽しそうに話しているのを見る度にもやもやする」

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