第57話

そして、その翌日。



この日、学校は休みだったので、沙那は陽と2人で駅前のカフェに朝食を食べに来ていた。



2人はソファー席で向かい合って座り、モーニングセットをゆっくり食べながら、のんびりとした時間を過ごす。



と、そこへ



「よっ!」



祐也が遅れてやってきた。



「沙那、これ」



そして沙那の食器の隣に、借りていた純の部屋の合鍵を置く。



それを見た沙那が、慌てて顔を上げて祐也を見た。



「スー、どうだった?」



「死にそうな顔してた……つーか、もうあれ死んでるよな」



祐也は見たままを正直に伝え、



「もう少しオブラートに包めないの?」



「いでっ!」



陽に肘で脇腹を小突かれて、小さく悲鳴を上げた。



「お前はもう少し俺に優しく出来ねぇの?」



祐也は痛む脇腹を手でさすりながら、当たり前のように陽の隣に座った。



店員が注文を聞きに来て、陽の頼んだものと同じサンドイッチのモーニングセットを注文した。



その様子を見ていた沙那は、



(ユウって……陽のこと好きなんだ)



そこで初めて祐也の気持ちに気が付いた。



気付いた途端、



(私って、お邪魔だよね?)



その考えに至る。

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