第51話
「全然成長しねぇのな、お前」
呆れを通り越して、もう溜息すらも出ない。
「沙那がお前に嘘ついたことなんて、今まで1回もないだろう?」
「……あぁ。ない」
「その沙那を信用できなかったら、何を信じるんだよ」
「……」
「てめぇの自信のなさで、沙那に八つ当たりするのやめろよ。見てて気分悪いぜ」
祐也はそう吐き捨て、純の上から退いた。
このまま何も反応がなければ、もう放置して帰ろうと思っていた。
「……」
純が、無言のまま突然むくりと体を起こし――
「沙那を迎えに行ってくる」
部屋着姿のままで車のキーを掴むので、
「いやいや、せめて着替えてから行けよ!」
帰りかけていた祐也は思わず突っ込んだ。
「あ……」
純も、自分の今の格好を忘れていたらしく、自身の体を見下ろして動きを止めた。
それが何だか意外すぎて、
「動揺しすぎだろ、お前」
祐也は笑いを堪えたが、肩の揺れまでは抑えきれなくて、
「どうせ我慢するなら、俺にバレないように徹底的に我慢しろよ」
純をムッとさせた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます