絆色。

第50話

沙那との通話を終えた純は、



「だーかーらー! てめぇ、マジでいい加減にしろよな!!」



また布団に包まって蓑虫になっていた。



その上で、祐也が先程と同じように両手の拳で純を布団越しにばふばふと殴り続けている。



電話をしている内容で、純が沙那に何をしたのか理解は出来た。



が、何故純がこんなに落ち込んでいるのかまでは、祐也には分からなかった。



「……沙那に嫌われた……」



布団でくぐもってはいるが、あまりにもはっきりと聞き取れた純のそれは、



「はぁ!?」



祐也には意味が分からなかった。



「瀬戸と、一緒にいるみたいだった」



「あー……」



なんとなく、察しはついた。



きっと、電話の向こうで朝日が沙那の近くでわざとらしく騒いだのだろう、と。



「沙那の言い分は、ちゃんと聞いたのか?」



「……五十嵐と食事している、と」



「それ聞いて、なんで喧嘩になんの?」



「……」



純は、黙り込んだ。



「沙那を疑うようなことを言ったんだな?」



なんとなく、そんな感じの言葉を言っていた気がする。



「……沙那が本当に俺でいいと思っているのか、分からないんだ」



普段なら何事にも自信に満ち溢れた雰囲気を持っている純が、沙那に対してだけは非常に臆病になる。



それは、沙那と付き合う前も、付き合っている現在も変わらないようで……

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