第46話

「なぁなぁ。純の嫉妬が重すぎて喧嘩したん?」



朝日が沙那の顔をしつこく覗き込み、



「アンタ、それ以上沙那に近付いたら、両方の鼻の穴に大根スティック詰めるわよ」



陽は、チーズソースをたっぷりとディップした大根スティックを両手に1本ずつ持って構えた(※食べ物を粗末に扱ってはいけません)。



「うわー! 大根はアカンて、みるやん! しかもチーズはアカンて、臭いって! せめてシンプルなニンジンにしてー!」



「詰めること自体は拒否らないのかよ」



そんな漫才みたいな2人のやり取りに、



「ぷっ……」



何だか深刻に悩んでいるのが馬鹿らしくなった沙那は、思わず噴き出した。



「え? 沙那?」



陽はきょとんとしたが、



「やっと笑ってくれたな」



朝日は満足そうに微笑んだ。



「いやいや、アンタが沙那から笑顔奪ったんでしょ!」



陽は即座に突っ込んだ。



「俺は別に沙那ちゃんに何もしてへんやん。悲しませとるんは、純のヤツやろ?」



朝日はケロッとしている。



本当に、自分は全く悪くないとでも思っているようだ。



「俺やったら、沙那ちゃんを笑わせることはしても、悲しませるようなことはせぇへんで」



そして、ふわりと優しく笑ってみせた。



「俺にしときぃや、沙那ちゃん」

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