第45話

陽は朝日を鋭く睨みつけたが、



「ええけど、そんなんしたらもう、ゆっくりご飯なんて食べてられんくなるで?」



そんな朝日の言葉に、



「……っ」



食べ始めたばかりでまだまだお腹の空いている陽は、悔しそうに黙り込んだ。



「俺も一緒させてくれたら、ここのお会計は全部俺が持つから。好きなだけゆっくり食べぇや」



朝日のにこやかな笑顔を睨みつけながら、



「……」



陽はディップしたキュウリのスティックをばりぼりと音を立てて食べた。



「は、陽……!?」



慌て始めた沙那に、



「コイツの存在は無視して食べよ。その代わり、遠慮なくめちゃくちゃ大量に食べてやるわ」



陽は目をギラリと光らせて宣言した。



いつもなら美味しいと思えるはずのこの店のマルゲリータピザも、



「……」



純のせいなのか隣の朝日のせいなのかは分からないが、沙那には味が全く感じられなかった。



「さっきチラッと聞こえてんけど、沙那ちゃん、純のヤツと喧嘩中なん?」



そんな質問をしながら、朝日はマルゲリータに手を伸ばそうとして――



陽に、その手をぱしんっとはたかれた。



「アンタの分は別で注文しなさいよ。あたしたちと同じお皿の料理は食べないで」



「うわー……俺が金払うのに、きっつー」



朝日はそう言いながらも、楽しそうに笑った。

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