第43話
一方その頃、沙那と陽は――
陽は普段から自炊をしないので家に調理器具がないため、夕食を食べに外出していた。
美味しいのに安いと評判のイタリアンレストランで、
「腹が立つ時はとにかく食べまくるのが一番!!」
大皿のサラダに肉料理、パスタにピザやリゾットなどなど、2人では到底食べ切れなさそうな量の料理を、陽が勝手に注文した。
取り分け用の皿に沙那と自分の分を取り分けると、もの凄い勢いでバクバクと食べていく。
「……」
最初、沙那はそれをぽかんと口を開けて見ていたが、
「なんで陽が怒ってるの?」
沙那が純に何をされたのか、何に怒っているのかを話していなかったことを思い出して、そう問いかけた。
陽は手だけで“ちょっと待て”と合図をしてから、口の中のものをごくんっと飲み込んだ。
「……何があったか、大体察しはつくから」
「え……」
「嫉妬に狂った桐生君のしそうなことくらい、あたしにだって分かる」
幼なじみ3人の中に1人ぽつんと混じっている陽が、その関係を寂しく思ったことは、勿論今までに何度かあった。
でも、付き合いの長さなんて関係ないと言えるくらい、深い絆みたいなものはもう出来ている、と断言出来るから。
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