第41話

「沙那は今日はここには帰ってこないぞ」



祐也の言葉に、



「……」



純が激しく落ち込んだのが、布団の中に隠れていても分かった。



「何をしたのか知らねぇけど、とにかく沙那に謝れよ」



「……すぐに謝ったんだが、許してもらえなかったんだ」



純の声はかなり元気がない。



「沙那が怒ってんのは、お前が謝ったのとは違う部分ってことじゃねぇの?」



祐也は、ずっと我慢していた溜息を大きくついた。



「……」



「とにかく今すぐ布団から出てこい。この蓑虫め」



「……」



純の反応はない。



「お前がそうしてる間にも、あの瀬戸ってヤツが沙那を口説きにかかってるかもしれねぇだろ」



純を挑発するように言うと、



「!」



純の体がピクッと反応したのが、布団越しでも伝わってきた。



「それが嫌なら早く起きろよー!」



祐也は両の拳を使って、純を布団越しにばふばふと叩きまくる。



「ちょっ、おま……痛い!」



痛そうな声は聞こえてくるのに、純が布団から出てくる気配はない。



仕方ない、かくなる上は――



「いい加減にしろよー!!」



布団を両手で掴み、渾身の力を込めて引っ張り上げた。



「……!」



髪がぼさぼさになった純の、情けない顔が露わになった。



ファンに見られれば、きっと幻滅されることは免れない。

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