第36話

――純の、嫉妬スイッチがオンになってしまった。



それに気付いた祐也と陽は、黙る。



こうなると、この2人では純の機嫌を直させることは出来ない。



「……俺、ちょっとトイレ行ってくる」



「あ、あたしもちょっと……」



そう言って一旦逃げることを選んだ2人。



そして、沙那は、



「待って、陽。私も――」



陽について行こうとして、



「!」



純に手首をぐっと掴まれて引き留められた。



「スー……?」



純は沙那の手を引いたまま、廊下の角を曲がり――



運良く人通りがないのを確認した純は、沙那を壁に押さえ付けて、素早く唇を奪った。



「んっ……!」



すぐに純の舌が沙那の唇を割って入り、



(ここ、学校なのに……!)



沙那は焦った。



純の胸を両手で押して拒んでみるが、びくともしない。



(こんなとこ誰かに見られたら、恥ずかしくて学校にいられなくなる……!)



自然と、沙那の目に涙が滲む。



しばらくしてからようやく唇を離した純は、



「……!」



沙那が泣いていることに気が付いて、



「沙那……?」



慌てて沙那の目を覗き込んだ。



「こんなの、酷いよ……」



「……すまん……我慢出来なかった」



純は沙那から視線を外すと、辛そうに俯いた。

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