第24話

朝日は自身がバイ・セクシュアルであることをテレビでも公表しているのだが。



何故、朝日に目を付けられてしまったのか、それは純にも分からない。



というか、分かりたくもないし、朝日のことなんかどうでもいいのに。



同じ事務所の先輩なので、こうして待ち伏せをされてしまえば回避のしようもない。



非常に迷惑極まりない男だ。



「なぁって! 俺、ホンマにウマいから! 新しい扉開けるで!」



このしつこさも、どうにかならないものか。



「俺に指一本でも触れれば、俺がお前を地獄に落とすための扉を開けてやるからな」



朝日を鋭く睨みつければ、



「ぶはっ! 何や純、おもろい冗談言えるんやん!」



何故か朝日は面白おかしそうに笑う。



「……」



非常に不愉快だ。



沙那が一緒にいる時ではなくて良かったと心底思った時、



「スー?」



「……沙那」



この世で最も愛しいが、今最も会いたくないと思っていた沙那が、純の目の前にいた。



何故、こんな所に……



「あっれぇ? もしかして、純のカノジョかぁ?」



すぐに目をキラキラと輝かせた朝日が、純の視界の端に入ってきた。

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