第19話
「もっと抱きたいと……何度でもしたいと思ったのは、沙那が初めてなんだ」
「……」
「好きな子とすることが、こんなに幸せなことだとは思いもしなかった」
純は、沙那をぎゅっと抱き締めた。
そんな風に言われてしまえば、断れなくなってしまう。
「……ずるいよ」
「ん?」
首を傾げて沙那の目を覗き込む純は、きっと分かってやっている。
「本当に、スーはずるいよ」
「……ごめんな?」
困ったような顔で微笑み、沙那の唇にそっとキスを落とす。
やはり、全部分かっていてわざとやっているようだ。
「沙那……今すぐ抱きたい」
「……バカ」
結局は、いつも純のペースに飲まれてしまう。
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