第17話

情欲に染まった蒼い瞳が、真っ直ぐに沙那を見た。



「あ……」



沙那は、思わず純から目を逸らした。



「沙那……」



純が唇を求めて、沙那を優しく抱き寄せる。



その時に、純からふわっとシャンプーのいい香りがして、



「!」



自分の入浴がまだ済んでいなかったことを思い出した。



「私、お風呂入ってくる」



純の胸を両手で押してそう告げるも、



「もう一度してからでは、駄目か……?」



沙那を見つめる純の瞳は、ますます熱を帯びている。



「また自分だけ先に入っちゃって、ずるいよ」



いつも沙那が意識を失くしている間に、先に入浴を済ませてしまう純。



起こして欲しいと何度頼んでも、沙那が自分で目を覚ますまでは絶対に起こしてくれない。



「……分かった。なら、今から一緒に入ろう」



……ん? 今、何と?



「スーは、もう済んだんだよね?」



「あぁ。だが、沙那と一緒に入りたくなった」



「……」



「風呂場でなら汚れてもそのまま体を洗えるし、一石二鳥だろう?」



「……」



沙那には、笑顔でそんなことを言う純が、悪魔に見えた。

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