第2話

「俺が書くのに俺の自由が通らないのなら、もう書かないと断言してきた」



純は、ねたような表情でティーカップに口を付ける。



「そっかぁ……」



沙那は少し遠い目をしながら、フォークで1口サイズに切り分けたシフォンケーキを口に運んだ。



タイトルはともかく、純の小説自体は読んでみたかったので、少し残念だ。



「じゃあ、出版は出来ないけど、私が『そらいろ。』って名前でブログ始めてみようかなぁ……」



沙那がなんとなくの思い付きでそう言った。



「ブログ? 何を書くんだ?」



カップをソーサーに戻した純が、興味津々の眼差しで沙那を見た。



「私とスーのこと」



「……夜の様子とかも?」



意地悪くニヤリと笑った純に、



「もう!」



沙那は軽くパンチをお見舞いした。



純は、それを笑って受け止めながら、



「いいんじゃないか? 面白そうだ」



快く賛成した。



「スーがそう言ってくれるなら、書いてみようかな」



そして、沙那は自分のスマホを手に取った――

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