第26話

拓真さんは私をマンションの前まで送迎してくれた。


車を来客用の駐車場に停めて、一緒にエントランスまでの石畳みを歩く。



エントランスまでは季節の花と木々で彩られている。


「どこまで送るつもりですか?」


「部屋まで送るつもり」


「部屋まで?別にセキュリティはしっかりしてるし、大丈夫ですよ」



私を過保護に扱ってくれるのは嬉しいけど。


「でも、副社長にそこまでされては秘書としての立場が・・・」


「…お前に何かあったら、俺は殺されるかもしれないし」


「お兄様はそんな非道なコトはしませんよ」


「ワケも訊かずに俺に石をぶつけたヤツだ。頭に血が昇ったら何をしでかすか分からない」

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