第22話

「…へ?(裏返った。

 キスゥゥゥゥゥウウウ!?

 海底先輩がぁ!?!?」


「馬鹿!声でけえよ!!!!」


と、目ん玉飛び出しそうな雀の口を手で塞ぐ。

周りの目線が集まっていたが、

何でもないから戻れ、と手をはらう。

コウちゃんの方が声でかいんさ。

と雀の小声は無視して、体勢を戻した。


俺が寝ていた間に昼休みを迎えていた、

クラスの野郎共は、野球したり弁当食ったり

携帯ゲーム機やったりと、動物園の猿山状態だった。


保健室から帰ってきた後、なんとか雀を捕まえて、

先ほどの事件を詳しく丁寧に話をした。

唯一無二の親友を失わないように俺は必死だった。

今この賑やかさなら、俺達の話し声も

猿共の耳には届くまいよ。


「わああ。ホントかよおおお」


「ここで嘘ついてどーすんだよ。」


いつものノリで、軽く頭を叩いてしまったが、

雀の、ほんの少し腫れた左頬が目に入る。

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