第19話

「あれ。先輩!ちゃーす!

 体調でも悪いんですか?」


雀の無垢な明るい声。

先輩?雀の先輩なのか。あの野郎は。

あの変態野郎の正体は、上級生だったらしい。

能天気な声が正体を暴いた。


「あぁ。ちょっとな。じゃあな空一」


うぃ~っす。と軽い挨拶をする雀。

なんともまぁ和やかなムードよ。

扉が閉まる音がした後、

雀がこっちに近づいてきた。


「よ。コウちゃん!大丈夫?

 なんか矢島っちに

 生きてるかどうか見てこいって

 言われたから……て。コウちゃん?

 おーい。生きてるー?」


何を知らない雀は

瞬きもしないで目を見開いていた

俺の顔の前で、手をひらひらとさせる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る