キスを

第16話

マ… マジっすか??

Part.2『キスを』



……へ?


まさに、”時間が止まる”ということは

こういうことで、その、

時間が止まるって感覚は

”思考が停止した”ということに

イコールが付くだと、身をもって理解した。


触れるだけのキス。

相手が離れて俺の視界に光が戻る。

そして秒針が動き出した瞬間、

つまり思考が回った瞬間。

相手の満足そうな口角の上り方と、

自分が置かれている状態を理解して、

俺の全身の毛穴が開いた。


そう!! こう…バッ!!!!!とだ

ばああああああああああああ!!!!!!!

っと!!!!!!!!!!!!!!!!!!

いや、表現が薄いな…こう、

ゾワゾワゾワァアアッ!!!!!って感じ。


(つまり鳥肌が立った。)


もう頭が真っ白だ。雪景色のように真っ白。

目なんて飛び出そうな程見開いた。

ね、大丈夫?

俺の眼球、ポロっと落ちてない?ねえ?


相手を無視して固まっていると、

俺の小さな脳みそがゆっくり動き出した。




えっと、うん。

とりあえず整理してみようか~♪


ここは樺田南男子高等学校。

通称カバ高。バカ高。

男子高なので、生徒は野郎しかいない。

ということは俺は男。相手も生徒なので男。

そんでもって俺は、全然知らない

見たことないコイツにキスされた。

不意打ちにキスされた。

不同意にキスされた。

ちゅーされた。


さ れ た ?


うん。された。されたとも。

…って


「マ… マジっすか??」

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