第15話

体がだるい。力が入らない。

このふざけた野郎を追い出す気力もない。


だんだん、寝ぼけた頭が回復しきて、

逆光にも目が慣れてきた。

はっきりしてきた視野はそいつをとらえる。

…そこには、知らない奴がいた。

脳が認識すると一気に身の毛がよだつ。

まんまると目を開いて密着した身を引く。


「てめ…っ!誰だ!」


見慣れた制服。やはり生徒だった。

雀でもない、クラスメイトでもない。

知り合いでもなく、同級生でもない。

こいつは……


「だーかーらぁ~

 先生だって言ってんじゃん♪」


突然、俺の視野が真っ暗になった。

なぜかというとそれは、

奴が俺に顔を近づけて光をさえぎったから。


突然、俺の唇が暖かくなった。

なぜかというとそれは、

奴が俺に


「ちゅ…」


キス、しやがったから。

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