第11話
案内の看板を見ながら生活支援課を探した。
あー。あった、あった。ここか。
3階か。エレベーターで3階へと上がると、フロアには、それぞれの課が何処なのか表示がある。
私はそれを見渡し、生活支援課を見つけると歩いていった。
「すみません。安楽死制度を利用したいのですが」
窓口へ行き、席に座った。
「はい。安楽死制度ですね、まずこちらの書類はお持ちでしょうか?」
「すみません、まだです」
「それでしたら、後ろの左側に書類がございます。そちらで記入したものをお持ちください」
「はい」
私は席を立つと、言われたように後ろの左側の書類を見つけ一枚取ると、下に挟まれている記入例を見ながら書いていった。
印鑑やっぱり持ってきて良かった。
そう思いながら、記入した。
辺りを見渡すと、この支援課は今日は空いているようだ。順番待ちがなくて良かったな。
書けたので、先程の女性の窓口へと持っていった。
「お願いします」
女性は、私の書いた部分に目を通している。
そして住所をパソコンに打ちはじめた。
「息子さんがいますね?ご連絡は」
「はい。息子はいますが、連絡はとっていないです」
「そうですか。こちらの記入がありませんが、どうされますか?」
それは、安楽死制度を利用すると、家族に支援金が支給される為のチェック項目だった。
「あ、あの、わからなくて」
「そうですか、こちらから連絡しても、よろしいですか?家族の承諾は、ご家族がいる場合は必須条件ですので」
「そうなんですね。わかりました。お願いします」
女性は、そう言うとすぐに電話をかけだした。
出るのだろうか。仕事じゃないのかな。
出たらなんと言うのだろう。
想像も出来ない。
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