第10話

床を拭いていると、小学生くらいの子供が私に近寄り「おばあちゃん、綺麗にしてくれてありがとう」

そう言ってくれた。

「どういたしまして」

私は笑顔で返した。

近くにいた母親が会釈をしたので、私も笑顔で返した。


母親は娘に「若菜、早く行くよ」とせかしていたけど、その子は振り返って手を振っていた。

今日は久しぶりにいいことがあった。

あんな優しいお嬢さんに感謝された、とても嬉しかった。


仕事が終わると1日が終わったような気持ちになる、季節によっては夕方で真っ暗だからかな。


今日はスーパーに寄らないとな。

アパートまでの帰り道にある小さめのスーパーで、いつも買い物をする。

こんなショッピングセンターでは高くて買えない物ばかりだ。

家族がいたら大変だろう。

ちょっとした買い物ですら何千円いきそうだ。

私は1人で本当に良かった。


明日はいよいよだ。

市役所に行って手続きをしよう。

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