第9話

夫が亡くなり、息子はたまたま一人、進学もしないで働くと言って出ていった。

実際、辞める事なく しっかりと働いているようで立派だと思ったし心も軽くなった、安心もした。


私は運が良かった。


子供が三人のシングルの母親とも出会ったこともあるが、やっぱり生活が大変で彼氏を作りたくなるのも理解が出来た。

寝る暇もご飯もまとにとれない。

気の休まる時間なんてないし、お金に余裕もない。

そんな生活を頑張るなんて私には出来ないと思った。

夫婦二人で育てていても、楽なわけじゃない。


私は恵まれているか、不幸だなんて思った事はない。

でも、幸せなのかと言われたら正直わからない。

夫があまりに一瞬でいなくなり、受け入れるのに数年かかってしまった。

私達は、とても仲良く喧嘩みたいな事もしたっけね。


孤独だ。寂しいとか、そんな言葉が合うのかは、わからない。

ただ、ポッカリと空いた穴は埋まる事がなく、知らないうちにどんどん大きくなってしまったようだ。

それを実感しながら毎日を生きていても、その穴は何をしても埋まる事はないと、私は思っている。

実際にそうだったからだ。

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