第3話
「若菜も知ってるだろう?安楽死制度」
「うん。。」
はじめて干し芋を食べる手を止めた。
「お母さんとも話したんだけど、そろそろかなって思ってるんだ」
「え?」
「ごめんよ」
祖母は優しく、穏やかに愛おしそうに微笑んだ。
あの時の祖母の顔が浮かぶ。
サインをした母は満足そうで、何処か早く終われと苛だったようにも見えた。
どうしてママは、おばあちゃんに死んでほしかったんだろう。
涙が止まることはなく、いつまでも泣いている若菜に、何も言わないが、少し苛ついた様子の母親を若菜は許せないと思った。でも、それより今は、おばあちゃんがいなくなり、自分はこの先も、あのひんやりとした部屋で過ごすのかと不安でいっぱいになった。
青色の服の人は祖母を何処かに連れていった。
お葬式もないみたいだ。宣伝で見たことがある、どちらも選べるって。
母親は、いつまでも泣いている若菜に「今日は帰るよ。」
そう言って連れられて自宅へと帰った。
帰り道、とぼとぼと下を向きながら歩く若菜に、「早くしなさい。」と歩く事をせかした。
ママなんて大嫌いだ。
「ただいま」
「おかえり」
パパが帰ってきているようだ。
「ごめんな行けなくて」
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