第79話

玄関を出たところまでは覚えているのだが、それからどうしたのかの記憶は途絶えている。



気が付いた時には、また病院のベッドにいた。



傷は少し深かったものの、肺や脊椎を傷付けてはいなかったようで、数針う程度で済んだ。



麗奈は精神が崩壊した状態で保護され、あまりに凶暴な暴れ方をするので精神科病棟で拘束具を付けられ、隔離入院していると後に説明された。



麗奈の両親は既に他界しており、一人っ子だったため兄弟もおらず、純を引き取ってくれる当てが見つからなかった。



仕方なく、しばらくは児童養護施設に保護されることになった。



1ヶ月程をそこで過ごしていると、麗奈の遠い親戚を名乗る中年女性が現れ、今度はその女性の家に引き取られることが決まった。



それに伴い、今まで暮らしていた田舎地方から都会へと引っ越すこととなった。



この時の純は、小学校へ入学する少し前の6歳という幼子だったのだが――



純のあまりに美しく整いすぎた顔が、その独身の中年女性の理性を狂わせた。



純が小学4年生になった頃から、この女性から夜の相手になることを強要されるようになったのだ。

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