第47話
祐也の言葉を黙って聞いていた純だったが、祐也を見る眼差しには怒りが込められていた。
「お前、少し……いや、かなり異常だぞ」
「……分かってる。だから別れたんだろ」
祐也は純を鋭く睨みつけた。
「沙那には、ちゃんと話したのか?」
「俺の方から、別れようなんて言えなかった」
だから、わざと色んな女を連れて見せつけたりした。
自然消滅ってことにしたかった。
「最低だな、お前」
思ったままを口にした純に、祐也は顔を歪める。
「お前さっき俺のこと、クズなフリしてるって
「前言撤回だ、クズ」
言いながら、また美味しそうにお茶を飲む。
「ならクズの淹れたお茶なんか飲むなよ」
「友人が出してくれた茶なら飲むさ」
お茶を飲み干した純は、テーブルの上に空のグラスをコトンと置いた。
祐也はそのグラスをじっと見つめながら、
「俺、お前のことがよく分からないんだけど」
ぽつりと漏らす。
「何がだ?」
首を傾げた純は、祐也の目を相変わらず真っ直ぐに見つめる。
そんな純の目を見られない祐也は、純のグラスを見つめたまま。
「こんな俺のことをまだ友達だって言ってくれたり……」
「友達だと思っているからな」
「……あと、俺よりもずっと沙那の近くにいるのに、付き合い出さねぇし」
「俺の片想いだからな」
さらりと返した純の声に、祐也は思わず純の顔を見た。
純は、祐也が見たこともない程の寂しそうな表情をしていた。
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