第37話
正直言うと、高校生の頃から祐也が浮気を繰り返していたことには気付いていた。
けれど、その浮気相手は毎回違う女の子で、沙那のことはとても大事にしてくれていて……
完全に遊びと割り切っているのだと感じた。
そして、祐也が女遊びをする原因が自分にあることも自覚していた。
自身が実は男性恐怖症であるということを、祐也には話せていない。
何故怖いのか、何故祐也に話せないのか……その理由は、沙那にも分からない。
口に出そうとすると息が出来なくなり、声にならなくなる。
過去の記憶を思い出そうとすると、意識が遠のきそうになる。
だから男性恐怖症であるという事実にも、祐也が浮気を繰り返しているという事実にも、全てに目を背けることにした。
もともと何も見えない世界で生きていたのだ。
見えるようになったからと言って、全てを見なければならないなんてことはない。
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