第24話

沙那と陽が、2人で笑いながらキャンパス内を歩いていると、



――♪♪♪♪♪――



突然、沙那のスマホが鳴り響き、沙那は慌ててバッグの中から取り出した。



「……あれ? スーだ」



その液晶画面には純からのメッセージが表示されており――



祐也からの連絡を、どこかの妖怪並みに首を長くして待っていた沙那は、ひどく肩を落とした。



「スーって誰?」



沙那が一喜一憂する様の一部始終を見ていた陽は、沙那の携帯の画面を覗き込んだ。



そこには当然、『桐生純』という名前が表示されていて……



「桐生純、って……あのモデルの!?」



思わず上がった陽の大声に、沙那はビビりつつも、説明してやる。



「う、うん。幼なじみなの」



そう言った直後、



「沙那!」



聞き慣れた声に呼ばれて、沙那は慌てて後ろを振り返る。



「ユウ!」



驚いたようにそう叫ぶ沙那に、祐也はにっこりと優しい笑みを浮かべて近付いてきた。



「もう友達が出来たのか?」



と陽にも優しげな視線を送る。



「うん、陽っていうんだよ!」



沙那は嬉しそうに紹介した。



しかし、祐也はその声を軽く流すと、



「沙那、話があるんだけど、いいかな?」



笑顔でそう問いかけるものの、その目は全く笑ってなくて、沙那はびくっと体を強ばらせた。



「陽と約束があるんだけど」



とは言えなくて、沙那は悲しげな瞳を陽へと向ける。



「あ、あたしのことはいいから、デート楽しんできなよ?」



と陽は慌てて笑顔を浮かべてそう言ってくれた。



「ごめんね……」



沙那はそんな言葉だけを残し、祐也に手を引かれて学校を出た。

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