第23話

沙那と陽は、受講する講義がほとんど同じで、この日は1日2人で過ごしていた。



そして、全ての講義が終わり……



「ね、沙那。せっかくだから、どっかでお茶していかない?」



陽は笑顔で沙那を誘った。



しかし、沙那はというと、



「うーん……」



と窓の外に広がる夕焼けを寂しげに眺めていた。



今日はまだ、祐也とは全く顔を合わせてはいない。



LINEを開いてみても、祐也からの連絡は全くなく……



そのことが、沙那には凄く不安なのだ。



「もしかして、彼氏と約束があるとか?」



陽は、沙那に彼氏がいることなど知らずにいたが、そう冗談っぽく言ってみた。



「約束はないけど……」



深刻な顔をしている沙那を見て、陽は少しだけ寂しそうに肩を落とす。



「いいなぁ。あたしも彼氏欲しい!」



そんなことを叫ぶ陽に、沙那は小首を傾げる。



「陽は、どんな人がタイプなの?」



「そうねぇ……あたしより男らしい人、かな?」



「……そんな人って、いるのかな?」



無意識のうちに、物凄く失礼なことを口走っていた沙那。



そんな沙那に対し、



「どういう意味よ~!?」



肩をがしっと掴み、詰め寄る陽。



「あはは、ごめんごめん。お茶奢るから、どっか寄ってこ?」



沙那は両手を顔の前で合わせて、謝罪した。



「ふむ、ならば許してやろう」



そんな陽の台詞に、沙那は思いっきり噴き出した。

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