第19話

「スーのお母さん……?」



純の口から初めて聞いた単語に、沙那は目をパチクリ。



しかも、



母親“だった”



というのは、どういうことなのか。



沙那は不思議に思いながらも、



「……そうなんだ」



としか返せなかった。



昔――沙那がまだ目の手術を受ける前の頃、



祐也も含めた3人で遊んでいた時でも、沙那と祐也は頻繁に自分の家族の話を口にしていた。



“おとうさんが”



とか



“おかあさんが”



という話が多いのは、この年頃の子供にとっては普通のことなのに、純だけは、そういった話をしたことがなかった。



だから、純の両親がどんな人なのか、幼なじみの沙那ですら知らない。



なんとなく、触れちゃいけないことのように感じていたし、今でもそう思うから……

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