第17話

その翌日、沙那は1人で学校に登校した。



祐也とは何となく気まずくて、待ち合わせ場所には寄らずに来てしまったのだ。



祐也と一緒じゃないからと言って、他に一緒に登校出来る友達は、沙那にはいない。



幼い頃から、一緒に遊ぶ友達は祐也だけで、祐也と付き合ってからも、休みの日は祐也と一緒に過ごしていたから。



「……」



キャンパス内に足を一歩踏み入れると、友達や恋人と一緒に歩く学生が多く、沙那の寂しさはどんどん増すばかり。



(……祐也、やっぱり私のこと待ってくれてるのかな?)



そんなことを考えながら歩いていると、



「沙那」



低い声に呼ばれ、振り返った。



「あっ、スー……」



そこには、蒼い瞳の彼。



彼が立っているだけで、周囲の視線を独り占めにする。



「おはよう」



「あぁ……榊は一緒じゃないのか?」



純が周りを見回しただけで、周囲の女子達が



「キャ~ッ」



と黄色い悲鳴を上げる。



そして、それと同時に、



「ちょっと、桐生君の隣にいるあの子、何なのよ」



「地味なクセに、生意気じゃない?」



そんな嫌な声も聞こえてくる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る