第15話
どのくらい泣いていたのか分からない。
突然、玄関のチャイムが鳴り、我に返って窓の外を見ると、もう日は沈みかかっていた。
慌てて涙を拭い、玄関へ走る。
「……はい?」
ドアを開けると、
「すまん、沙那。俺のスマホを……って何かあったのか?」
そこに立っていたのは、随分前に帰ったはずの純。
沙那は慌てて首を横に振る。
「何でもないよ。で、スマホが何?」
「……俺のスマホが見当たらなくてな。沙那の部屋に落としたのかもしれないと思って」
純は、訝しげな表情で沙那の様子を窺いながら、そう言った。
「スーのスマホ? ちょっと待ってね」
沙那は、慌てて部屋の電気を点けた。
その様子に、純はますます怪訝そうな顔をする。
そして、部屋の扉を閉め、靴を脱ぐと勝手に部屋に上がった。
「沙那」
その低い声に呼ばれ、沙那はびくりと反応する。
祐也以外の男の人と2人きり。
先程のこともあったから、沙那の恐怖心は頂点に達した。
純は、そんな沙那にそっと歩み寄ると、彼女の顔を両手で挟んで固定し、じっと見つめた。
「……やっぱり泣いていただろ?」
沙那の目が赤いことを確認すると、すぐに沙那を解放した。
けれど、純のその蒼い目は、沙那を真っ直ぐに見据えたまま。
「榊と何かあったのか?」
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