第12話

「お茶入ったよ~♪」



来客が余程嬉しいのか、沙那の機嫌は上々。



そんな沙那を、祐也は不機嫌なのか落ち込んでいるのか、よく分からない複雑な表情で見つめる。



純はというと、全くの無表情で、何を考えているのかすら分からない。



ただ、沙那の部屋はカーテンやベッドのシーツがピンク色で統一されているため、



そこに全体的に黒い印象を与える純が座ると、かなり浮いて見えてしまい、彼自身、何だか落ち着きがないようにも見える。



そして、そんな彼らの前に置かれたティーカップの中からは、ほのかな桜の香り。



祐也は、カップの中を不思議そうに覗き込んだ。



そこには、湯気立つピンクっぽい色をした液体。



沙那の両親がオリジナルで作ったという、桜のフレーバーティー。



和紅茶と言うのだろうか……桜の香りのせいで、何だか和っぽい雰囲気。



そんな不思議な液体が入ったカップに、純は特に気にした様子もなく普通に口を付ける。



その様子が何だか物凄く様になっていて、祐也の表情は更に不機嫌なものへと変わる。

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