第5話

「ったく、しょーがないなぁ……」



祐也の呆れたような声も、今の彼女には届かない。



しかし、だからと言って、彼女を叱りつけるなんてことはしない。



何故なら、沙那と祐也は5歳の頃からの付き合いだから。



祐也は、沙那のそういう純粋でおっとりした部分に惹かれて告白したのだから……



「沙~那~? いい加減、遅刻するぞ~?」



そう言いつつも、心のどこかでは、沙那と一緒なら遅刻してもいいかも、なんて思ってしまっていて……



「えっ、嘘!? 急がなきゃ!」



しかし、基本的に真面目な性格の沙那は祐也の腕を引き、慌てたように走り出す。



そんなこんなで、2人は渋々入学式に参加したのである。

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