胸を張れる日

第20話

今日もストーカーのように私を追い回す蓮。

イケメン蓮の人生は、それでいいのかと思う。




唯一、トイレの時だけが私に与えられた自由時間。

別れてから距離を置いていたし、先生と付き合い始めたから少し忘れていたけど……。


蓮は異常なくらいの執着心を見せつけてくる。






そんな毎日に疲れながらも、トイレから出て来たばかりの私に、蓮が率いるイケメントリオの一員である、ワイルド系の大和が声をかけてきた。




「おぅ、梓。久しぶりじゃん。」


「あっ…大和。最近見かけなかったけど、元気だった?」



「俺らは校舎の棟が違うから、あまり会わないよな。蓮、来てる?」


「いるいる。一日中、私の傍から離れないよ。」



「…マジか。あいつ、まだ梓の事諦めてねーの?」


「大和からも何か言ってよ…。」



「また付き合えばいいじゃん。」


「それは出来ない。」



「何で?」


「うっ……。それは…。」




復縁出来ない理由を突っ込まれても、残念ながら言い返せない。

秘密の恋愛は、どの角度からも私を苦しめる。



『高梨先生が私の彼氏なの』と、堂々と胸を張って言える日は、絶対来ない。

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