蓮との可能性

第16話

「梓…。あのね、この場では非常に言いにくいんだけど…。」


「ん?つむぎ…なぁに?」




「梓と蓮くん…。また付き合ってるの?」


「まさかぁ、そんな訳ないじゃん!」


「俺はやり直す予定だけどな。」




一年と三年で同じクラスになった、親友の紬。

茶髪でふんわりウェーブの長い髪。


紬とは一年の時に名前順が前後で、アイドルの話が盛り上がり一瞬で仲良くなった。




今は教室で紬と二人でお昼ご飯を食べているが、蓮はわざわざ椅子を持参し、勝手に相席をしている。

そして、私達二人きりの会話すら邪魔をしてくる。




私が行動する度に金魚のフンのように付きまとう蓮を毎日傍で見ていたから、きっと何かを感じ取っていたのだろう。


彼女自身も同席している蓮の前で、こんな話をするのはかなりの勇気が必要だったはず。




でも、こんな話ならわざわざ蓮の前で聞かずに、空気を読んで手紙やLINEで聞けばいいものを…。





実は、紬には先生との恋愛はナイショにしている。

先生の解雇と自身の退学がかかっているだけに、今回の恋愛は慎重だ。


だから、彼女が知る私の恋愛は、蓮が最初で最後の人。




「じゃあ、梓は俺と付き合う可能性、何パーセントくらいあるの?」




蓮は私の恋愛事情をよく知ってるクセに、お箸でつまんだご飯を口にほおばりながら、イジワルな笑顔をニヤリと向ける。


先生との進行形の交際を知らない紬の前で、私を窮地に追い込んでくる。

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