気を失いかける私

第17話

「へっ…?」

ポカンとした表情ですっとぼけてみる。


「だ〜か〜ら〜。誤魔化すなよ。わかってんだろ?」


「私も蓮くんと梓が付き合う可能性が何パーセントか知りたい!」



「うっ………。」




直球勝負に出た蓮からの質問を上手く交わそうとしたが、事情を知らない紬が後押しして完全に逃げられなくなった。




当然、私には味方などいない。

更に紬も追い打ちをかけてくる。



どうすればいいのか…。

蓮と付き合う可能性は、0パーセントには違いないんだけど…。


どストレートに言ってしまったら、さすがの蓮もヘコむはず。

しかも、ヘコんだ勢いで私と先生の関係を紬にバラしてしまいそうだ。




…それはダメ。

秘密を絶対バラされたくない。

先生と別れたくない!




「じゅ…10パーセントくらいかなぁ……。」




おまけのおまけで言った。

当然、全くその気はない。


蓮との可能性なんてゼロ、ゼロ、0〜。



今は高梨先生という素敵な彼氏がいるのに、浮気が原因で別れた元彼と付き合う訳がない。

ないないない………。

絶対ないっ!



それなのに、蓮は……。




「マジ?10パーセントもあるの?よっしゃ!」




そう言って、クラスメイトがお昼ご飯を食べている教室で…。

親友の紬の目の前で…。


勢いよく席を立ち、私に覆い被さるかのようにいきなり抱きついてきた。




その瞬間、蓮が立った勢いで座っていた椅子は床にガタンと倒れ、私が箸でつまんでいた卵焼きがコロンと床へ落ちていった。




蓮……。

正気なの?


教室にはあんたと二人きりじゃないんだよ。

抱きついてる様子はクラス全員の目に触れているんだよ。

それに、私は先生と付き合ってるって言ったでしょ。


蓮は、本当にバカ!




いきなり抱きついてきた蓮のせいで、私はクラスメイトから一斉に視線を浴びた。

驚きとショックにより、一瞬気を失いそうになった。

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