エスカレートしていく蓮

第15話

ーー学校。


そこは、集団生活における最初の試練である。

集団で生活を共にし、多くの人間と関わり合う場所。





だけど、私の場合…。



右を見ても蓮。

左を見ても…蓮。


蓮…蓮…蓮…れれれれれ…れん。


どこを見ても、どこを振り返っても…蓮。



これは、集団ではなく単独行動。

視界に収まるのが蓮ばかりだから、一瞬集団のように錯覚してしまうが、実際は一人だけ。




朝、私が登校すると、まず最初に先に登校していた蓮が私の元へと駆け寄ってくる。

まるで懐いている飼い犬のよう。


授業が終わっても、

移動教室の時も、

教科でグループ班になっても、

お昼になっても、

放課後になっても、

帰る時まで…。




まるでマンツーマンのよう。

言い方を変えれば、ストーカーともいう。


いつでもどこに居ても追いかけてくる。

それが同じクラスの強み。




そんな蓮には、学年問わずファンが居る。

しかも、両手では数え切れないほどの人数だ。

蓮と付き合っている時にかなり嫌がらせを受けたから、それがよく分かっている。


だけど、学校一の超イケメン蓮が、平々凡々な元カノの私を今日も必死に追いかけている。






最近、感じる…。

蓮の付きまとい方が、付き合っていた頃よりもひどい。


ヤキモチ度が更にエスカレートしている。

先生に対して、ライバル目線がハンパじゃない。



周りから見ても、私と蓮がやり直したのではないかと勘違いしてもおかしくないくらい、蓮は私の傍から離れない。

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