ヤキモチ男

第12話

「私になんて構ってないで、いつも蓮に引っ付いている花音と遊べばいいじゃん。」


「だ〜か〜ら〜。その返事がマジでウザっ。ってか、花音いま関係ねーし。…俺はぜってーお前とやり直すからな。」



「もう諦めてよ。私には新しい彼氏が出来たんだってば。昨日から知ってるじゃん。」


「無理!お前が俺の所に戻るまで諦めない。」



「蓮〜〜〜っ!」




諦めの悪い蓮は、放課後もずっとそんな調子で困り果てている私に付きまとう。




私なんて放っておいてさっさと家に帰ればいいのに、蓮は私の帰り支度が済むのをわざわざ隣の席で待ち構えている。


荷物をまとめて振り切るように足早に教室を出ても、彼はしつこく追いかけてくる。




これはまさか………。

一緒に帰ろうとしているとか?


蓮のせいで先生から受け取りそびれたメモの代わりに、これからLINEを送らなきゃいけないんだよ。




梓は少し眉を上げ、ストーカー並に付きまとう蓮にクルリと振り返った。




「もしかして、私と一緒に帰るつもり?」


「そうだけど。…まさかお前、また体育館の用具室であいつとコッソリ会おうとしてるつもりなの?」




蓮は人通りが多い廊下で、梓と高梨の二人だけの秘密を悪びれる様子もなく口にしている。

梓は慌てて蓮の口を両手で塞ぐ。




「バカッ……。何でそれを今ここで言うの?誰かに聞かれたらどうするつもりなの。」




口を塞がれて嫌がる蓮は、梓の手首をムンズと掴んで解く。




「そんなの知らねーし、俺には関係ねぇ。」


「蓮〜〜〜!」




別れた今も、蓮は口を尖らせながら子供っぽく困らせてくる。



蓮は相変わらず、面倒くさいヤキモチ男だ。

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