イジワルな蓮

第9話

「なぁ、なぁ。久しぶりに俺とデートしない?」


「蓮のデートって言っても、どうせ自宅でしょ?…私を襲うに決まってる。」




回収したクラス分の数学ノートを蓮と半々に持ち、職員室に向かっていた。

久しぶりに単純な会話をしながら、肩を並べて歩く。




昨日、蓮は私と先生の関係を知ったばかりなのに、どーゆー神経でデートを誘ってくる訳?

ワケワカンナイ。




すると突然、蓮は半々にしていたクラス分のノートを梓からヒョイと取り上げた。




「お前、そんな事ばっかり考えているなんて、エロだな。…ヤベー。」




イジワルな笑顔は相変わらず。

だから、小さな事でもペースが乱されて、カチンとムキになってしまう。




「もーっ!蓮めーっ!」


「あはは。冗談だよ、ジョーダン!間に受けるなって。」




梓は手をグーにしながら、ふざける蓮を追いかけ回した。

だが、蓮は右に左にとチラチラ振り返りながら、捕まらない程度に逃げる。




付き合っていた頃の私達は、いつもこんな感じで仲が良くふざけ合っていた。


蓮が冗談を言って私が追いかける。

いつも同じパターン。


久々に二人で走り回ってるうちに、一瞬付き合っていた当時に戻ったような雰囲気になった。




そんな彼の隣は、付き合っていた当時私には最も危険な場所であり、絶対的な安全な場所でもあった。

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