第26話

放課後、教室で一人でクラリネットを吹く私。


本当は一人じゃない。


ただ、私が見えてないだけ。


見えてるはずだけど、見えてないふりをしている。


人間は、自分に都合の良いものだけ受け付け、他は見えないふりをしている。


私は都合の悪いもの。


みんなにとって邪魔でしかないもの。


……また怒られる。


私のせいだ。


クラリネットパートは下手クソ。


都合の悪いもの。


邪魔でしかないもの。


 この状況には、心当たりがある。


自分で言うのもだけど、私が上手すぎるから。


1年なのに。一番年下なのに。


その嫉妬のせいだ。


自覚はある。


ただ、人間は貪欲だ。


自分より上の存在は、邪魔でしかない。


自分こそが頂点であろうとするために、どんな手を使ってでも上の人間は引きずり降ろす。


私も耐えたかった。



でも



もう限界だった。

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