第27話

私は、時雨くんが幸せなら、それでいい。


時雨くんが幸せになるためなら、何でもする。


でも私は、私も幸せになりたい。


そのために、時雨くんには私を好きになってほしい。


小さいころからずっとアピールしているけど、まだ時雨くんは気づいていない。


 ……もういいや。


時雨くんが私を好きだったら、思いとどまろう。


これが最後。


いい加減けじめをつけないといけない。


 「……時雨くん」


帰り道、誰もいない夕暮れの河川敷。


漫画かなんかみたいな、謎にロマンチックなシチュエーション。


目が合う。


「私、時雨くんが……」


「あ、後ろから自転車くるぞ」


そう言って、コートの裾を引っ張られる。


横を自転車が通り過ぎていった。



……もう嫌だ。



時雨くんの腕を振り払って走る。


この告白で、私の全てをぶつけるつもりだった。


なのに、不発になっちゃった。



……もう、終わりにしたい。

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