第21話

「んああああぁ〜っ…… 大満足!」


ライブ帰りの大勢の人間達をすり抜けながら、ユウが言う。


「生PPFON見れたっ! しかも時雨くんと一緒!! 最高っ!!!」


拳を突き上げて叫んでいる。


……ユウが幽霊でよかった。


幽霊じゃなかったら絶対大迷惑になっていた。


「ね、今回のライブで絶対ハマったでしょ! PPFON!」


「……ん、ま」


「いや何そのビミョ〜な反応…… あ、もしかしてハマっちゃって悔しい?」


ユウが顔を覗き込んできた。


全力で目をそらす俺。


全力で目を合わせようとするユウ。


しばらく無言の戦いが続いた。


 ふと遠くを見る。


人混みの前の方。


急に人の頭の道が分かれはじめた。


「えっちょっ待っやばくない……!?」

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